赤城山の小沼から出て、銚子の伽藍から流れ落ちる大滝は、赤城山で随一といわれ、32mの高さがあるという。
私が初めてこの「赤城大滝(不動大滝)」を訪れたのは1998年5月だった。その後の2年間、氷結した大滝を見たくて、寒さの一番厳しい2月に行ったのだが、いづれも忠治温泉前の大駐車場からのコースだった。手持ちのガイドブック「上州山歩」(1997年 読売新聞社刊)の案内がそうなっていたからだ。
今回は久しぶりの不動滝だったが、コースは滝沢温泉先の前不動駐車場からのスタートだった。山仲間の車に同乗したのだが、そのコースが当然のようなので内心驚いていた。
私の忠治温泉からの記録を見ると約1時間の行程だったが、前不動駐車場からは40分の案内板があった。実際に私の足でも小一時間くらいだった。距離と時間が短くていけるなら誰しもこちらを選択するだろう。というか、最近のガイドブックではこちらを案内しているのかもしれない。
行きも帰りも忠治温泉前の駐車場脇を通ったが、夏草があふれていて「大駐車場」の面影がなかった。この駐車場から不動滝へは「関東ふれあいの道」(コース23)の道の一分にもなっている。
私は不審に思い、不動滝へのコースを検索してみた。するとサイトのほとんどが前不動コースを歩いていた。つまりは、忠治温泉からのコースは人気がなく、おのずとスタート点の駐車場も荒れているのかもしれない。
前不動口にある案内板によると、国定忠治が隠れたという洞穴は、危険なため立ち入り禁止になっている。これは不動滝のある粕川の左岸にあるのだが、その左岸コースそのものが進入禁止になっていて、右岸を高巻くコースを行くように指示されていた。崩落とかで通行できなくなったのだろうが、沢から離れた右岸コースはあまり面白みがなかった。
ちなみに、この不動滝を「関東ふれあいの道」コースブックでは不動大滝と呼んでいるが、平成21年3月に群馬県指定名勝になり正式には「滝沢の不動滝」というようだ。
この時の審査委員たちの発言記録を見ると「粕川の不動滝」と争われている。滝沢はどこにでもあるのに対し粕川の方が地名として特定性があると主張されているが、結局2対12で「滝沢の不動滝」に決まっている。私は「赤城大滝」が良いように思うのだが、それは全然検討されていないようだ