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読評 「本と鍵の季節」(米澤穂信 著)

 

この小説は、高校2年の男子生徒2人が、図書委員となって知り合い、シャーロック・ホームズのように推理を重ねて、謎解きをする7つの連作短編集になっている。

 

例えば、最初の短編は「913」というタイトルで、やはり図書委員だった高3の女子から、祖父が残したというダイアル式金庫を開けて欲しいと頼まれる。祖父が急死し、祖父からは「大人になったら分かる」と聞かされていたものが、金庫の中にあるはずだというのだ。

 

小説の主人公である男子高校生2人は、依頼してきた女子高生の姉が急須に入れて2人に出したお茶の味と、なぜプロの金庫屋に頼まないのかという単純なことから、彼女の依頼の前提に疑いを抱く。開錠はできるのだが、そこではもっとシリアスに捻られた話が展開される。

 

7つあるそれぞれの短編に描かれる話は、身近にあるようなことで、複雑怪奇な事件を扱うような推理小説ではない。これらの短編の真骨頂は高校生2人がする推理の会話にある。作家はそこに2人それぞれの個性を描いている。

 

この本は推理小説であるから、細部を紹介してはルール違反になるからこれ以上は書かない。主人公と同年代の高校生が読んでももちろん、私のような老齢者が読んでも十分に楽しめる内容だったとだけ述べておこう。

author:u-junpei, category:読評, 22:33
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