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読評 「創価学会」(田原総一朗 著)

 

自民党と連立与党を組む公明党は、創価学会との関係なくしては語れない。当の学会は、かつてはその自民党からも野党からも、言論出版妨害事件や政教分離に関して激しい批判攻撃を受けている。私も当時の秋谷会長が国会喚問を受けたのをテレビ中継で見た記憶がある。

また、創価学会は日蓮正宗の信徒団体としてスタートしているが、1991年にはその宗門から破門され、宗教団体として存立が危ぶまれた。

 

そのたびごとにと、著者は当時を振り返り、ジャーナリズムの「われわれ」は、創価学会は衰退すると予想したという(本書まえがき)。

ところが、2018年現在、SGI(創価学会インターナショナル)は世界192ヵ国・地域に広がり、日本以外の国に240万人もの会員を擁している(p319)

 

いわば、創価学会は今や日本発の世界宗教であって、幾たびの危機的状況を乗り越え、なぜそのような発展をしているのか、「まえがき」で著者はジャーナリストとして、その実態をつかみたかったという動機を率直に述べている。

 

私も、とくに公明党との関係には強い関心がある。さらに、世界宗教であるキリスト教・イスラム教を信奉している人々と仏教がどう関わって、なぜ創価学会の信仰が受け入れられているのかにも興味をもって読んだ。

 

著者は、『おわりに』という「あとがき」で、次のように述べている。

 

『・・・他宗を一切認めないという立場を貫けば、いかに大きな宗教集団をいえども孤立する。しかも、それを乗り越えるのは至難の業である。

当然、民主主義国家では生きにくくなるだろう。なぜなら、民主主義とは自分の意見は持ちつつも、異なる意見を認めることで成り立つからである。宗教と民主主義は相容れないのではないかと私は感じていた。公明党が結党し、政界に進出したときにも、創価学会はこの矛盾にどう対処するのかと案じたものだ。

 

だが、池田大作氏は宗教における”排除の壁”を見事に乗り越えた。どのような宗教も否定せず、他宗教の信者たちともコミュニケーションを図り、信頼しあうことに成功した。この一点だけでも、私は池田大作氏を高く評価している。

これは、どの宗教にも成し遂げられなかったことであり、私はそこに、創価学会としてのすごさを感じるのである・・・』

 

本書の内容は、このような結論に至ったことを、第1章「創価学会の誕生」〜第9章「特別インタビュー原田稔会長に聞く」まで、様々な場面で検証したもので構成されている。

著者は1934年生まれ。テレビで見る様子は、かつてほどには迫力がなくなっているようだ。だが、本書にはジャーナリストとしての生涯に恥じない魂があると思った。

 

本書に書かれた池田会長をはじめ、学会や公明党幹部へのインタビューには、かなりキツイ突っ込みを入れているが、偏見を排した公正な誠実さが感じらる。ジャーナリストの真骨頂とはこのようなものをいうのであろうか。

 

もっとも、第二章「創価学会の拡大と救済論」で、著者自身も創価学会への懐疑と偏見があったことを、正直に次のように述べている。

『・・・実は創価学会に対して私は長い間、偏見を持っていた。というのも、私が20代だった1950年代、創価学会はきわめて戦闘的な集団と見られていたからだ。第2代会長に就いた戸田の指揮のもと、強引な折伏大行進を行い、他宗教を邪宗と決めつけるなど、排他的な集団としか思えなかった。また、その信仰観についても、いろいろな新興宗教が「難病が治った」「奇跡が起こった」というオカルトまがい話を喧伝するのと同列のうさん臭さを感じていた。』と

 

こうしたことでは、多くの人が著者と同様に思ったに違いない。いまだに偏頗な学会批判書が多いのもうなずける。

 

ところが、このような日本の創価学会の歴史と、海外では事情が全く異なるようだ。海外での布教活動は、池田会長のいわば手作りでスタートしている。上記の日本のような状況ではなく、その国や地域の文化を尊重し大事にしている点が、大いに違っているのではなかろうか。まさに、著者の「あとがき」に指摘されているとうりなのだろう。

また、本書に収められている海外の会員へのインタビューで語られている体験談を読むと、入信動機というのは人種を問わず同じようなものがあり、人間は同じなんだなと感慨深いものがあった。

 

本書は、一流ジャーナリストが忌憚なく客観的に見た創価学会の歴史を語っているということでは、学会批判者にはもちろん、、一般会員にも一読をお勧めしたい1冊だ。

author:u-junpei, category:読評, 18:00
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