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読評 「反体罰宣言」(南部さおり 著)

 

「日本体育大学が超本気で取り組んだ命の授業」という副題がついている。「本気」に「超」と付けられているのは、この大学の本気度を表しているのだろう。逆に言えば、この大学では体罰が横行していたのかも・・・

先に問題になった日本大学のアメフト部などで見られるように、体育会系では、スポーツ根性を育てると称し、シゴキや体罰やイジメが横行するような世界なのかも知れない。

 

著者は日体大に2016年に赴任した准教授(法医学)で、以来、学生に「命の授業」となる研修会を行っている。この本には、部活動などで死亡した子どもの親を招き、彼らに講演してもらった七つの事例が取り上げられている。

いわば、多くの卒業生が体育教師になる大学で、学生の意識改革を喚起した実践の記録本だ。

 

この本で最初に取り上げられた草野恵さん(高1)の事例は、バレーボール部の合宿中に起きた死亡事故で、顧問教諭は日体大の出身であった。

ここでは、顧問の女性教諭による理不尽な体罰=暴力行為、死に至らしめた放置行為、それを隠蔽した学校の無責任な対応などが語られている。

 

ちなみに、ネットを検索したら、恵さんの両親が訴えた民事裁判(刑事裁判は証拠不十分として不起訴処分)での、両親への尋問の様子が書かれているのがあった。

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2009/me090320.html

http://www.jca.apc.org/praca/takeda/message2009/me090712.html

 

また、この本では、教員による「指導死」という問題の事例も取り上げている。指導と称し、もたらすであろう結果(生徒の自殺)に対する配慮に全く欠ける教員の資質のなさには、これが教育者の現実なのだろうかと疑った。

 

もっとも、神戸の小学校のイジメ教師たちの愚行もある。最初に知ったときは唖然としたものだが、しょせん教師といえども人間であるから、さもありなんなのだろう。

されど、日本の教育は終わってるとは思いたくいない。この本のような実践例もあるのだから・・・聴講した学生の多くは、アンケートに体罰は不可と答えている。そのような教員が増え、彼らが連帯するようならば、教育現場も変わっていくに違いない。

author:u-junpei, category:-, 23:23
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